ソシオニクスのモデルAは8つの機能からなりますが、強い機能と弱い機能があります。A. Bukalovによれば、機能の強弱は4つのパラメーターで区別できます(機能の次元)。当ブログでは、これを「4つの段階」という形でわかりやすく説明します。
モデルAの8つの機能の強弱とは?
モデルAは、ソシオニクス創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテさんが発明したモデルです。このおかげで各タイプの性格の違いや、考え方のプロセスをシステマチックに考えることができます。
モデルAは8つの機能からなります。どのソシオタイプも、この8つの機能を目的や状況に応じて使い分けている…と考えます。
そして、8つの機能には強弱の違いがあります。当ブログではよく「強い機能」「弱い機能」と言いますが、この強弱の違いとは、「経験の蓄積の量と、情報を処理する能力」(Dimensionality of functions – Wikisocion)の違いのことです。
さらに当ブログでは、色の濃淡で機能の強弱の違いをあらわすことがあります。
色がもっとも濃い、主導する機能(第1機能)と証明する機能(第8機能)は、8つの機能の中でもっとも経験を積んでいて、どんなに複雑な情報でもうまく処理できます。
逆に、色がもっとも薄い、脆弱な機能(第4機能)と暗示された機能(第5機能)は、もっとも経験の蓄積がなく、単純な情報でないと処理できません。
機能の次元とは?
ウクライナのソシオニクス研究者A. Bukalovが提唱した機能の次元という考え方があります。Bukalovは、以下の4つのパラメーターによって8つの機能に区別を与えました。
- 個人の経験(Experience)
- 社会規範(Norms)
- 現在の状況(Situation)
- 時間経過(Time)
当ブログでは、この考え方を参考に、8つの機能の強弱を、段階にわけて説明します。
段階1:頼れるのは「個人の経験」だけ!
1段階目の機能は、もっとも弱い機能である、脆弱な機能(第4機能)と暗示された機能(第5機能)です。
この段階の機能は、先ほどの4つのパラメーターのうち、「個人の経験」だけを頼りに情報を処理します。その他3つのパラメーターは使いません。
パラメーター | 段階1 |
---|---|
個人の経験 | ○:経験したことならわかります! |
社会規範 | ×:一般的な基準…難しい! |
現在の状況 | ×:今の状況?こっちが聞きたい! |
時間経過 | ×:今後のことなんか知らない!泣 |
「個人の経験」から情報を処理する、つまり「過去の自分はどうしていたか?」とか「A子ちゃんはどうやっていたか?」と、これまでの自分や他人の経験を辿って判断します。
たとえば、脆弱な機能にNi(時間の直観)を持つESEは、時間の見積りをするときは、個人の経験だけを頼りにするでしょう。
前回は1時間前に家を出たら、お土産も買えたし新幹線にも間に合った。今日も1時間前に家を出たら、お土産買えるよね?!
逆に言えば、ちょっとでも未経験なことがあると、まったくわからなくなってしまうのもこの段階の機能の特徴です。大失敗することも多く、大きなショックを抱えやすいです。
レジ並んでる!店員遅すぎ、嫌がらせ!?てか間に合うの!?間に合わなかったら…!?最悪、チケット取り直さなきゃ!!
失敗を重ねるのは怖いですが、この段階は失敗によってでしか成長できないことも覚えておいてください。フォローしてくれる人がそばにいると安心できますが、失敗はバネにして、前を向くことが一番大事なことです。
他にも以下のような特徴があてはまれば、この段階の機能に関係するかもしれません。
段階2:「社会規範」はわかるけど…。
次に弱い2つ目の段階にあるのは、規範の機能(第3機能)、動員する機能(第6機能)です。
この段階の機能は、「個人的な経験」と「社会規範」の2つのパラメーターを用いて、情報を処理します。
パラメーター | 段階2 |
---|---|
個人の経験 | ○:経験したことはわかります! |
社会規範 | ○:何をすべきかもわかってます! |
現在の状況 | ×:今の状況は…難しいです! |
時間経過 | ×:今後の予想!?わからん! |
この段階では、個人の経験に加えて、「みんな」の経験、つまり「一般論」「フツウ」「セオリー」から情報を処理します。「前の自分はどうだったか?」だけでなく「フツウはどうすべきか?」という2つの見方で物事を判断できます。
たとえば規範の機能にFi(人間関係の倫理)を持つLSIなら、人間関係の中で何をすべきか/すべきでないかを理解していて、大失敗をしないよう立ち振る舞うことができます。
相手の気持ちを軽んじるべきではない。人としてフツウのこと。
逆に言えば、「フツウ」じゃない複雑な事態や、「一般論」より高い水準を求められる環境では、どうしたらいいかわからなくなります。
どこまで気持ちを察してあげなきゃいけないんだ?
この段階の機能は、失敗を重ねずとも、本を読んだり人の助言を得たりしながら伸ばしていくことが可能です。自分の中の「セオリー」は、勉強によって少しずつきめが細かくなっていくでしょう。
他にもこんな特徴があります。
段階3:「現在の状況」よく見ています!
ここからは「強い機能」の段階になります。創造する機能(第2機能)、無視された機能(第7機能)がこの3つ目の段階にあります。
この段階では、これまでの「個人の経験」と「社会規範」、そして「現在の状況」の3つのパラメーターによって情報を処理します。
パラメーター | 段階3 |
---|---|
個人の経験 | ○:経験したことはわかります! |
社会規範 | ○:何をすべきかわかります! |
現在の状況 | ○:今の状況、わかります! |
時間経過 | ×:今後の予想は、難しい! |
これまでの経験とセオリーも応用しながら、現在の状況について細かい部分まで確認していきます。そのため、状況にあわせて臨機応変に判断でき、複雑な問題でも解決できます。
たとえば創造する機能にTe(仕事の論理)を持つILIなら、どんな状況でも細かく事実を捉えて、人にも合理的な指示を出せるでしょう。
君の状況を見る限り、A社は解約、B社で新規契約したほうがいいね。
逆に言えば、状況を頼りに判断を下すので、まだ起きていない問題を未然に食い止めることはしません。何か起こる前にアドバイスを求められると、回答に困ってしまいます。
先に言ってほしかった!と言われても…。
この段階の機能を伸ばすには、実践あるのみです。勉強するのもいいですが、とにかく場数を踏んでいくことが大事です。
他にもこんな特徴があります。
段階4:「時間経過」も織り込み済み!
最後の段階です。この段階の機能はもっとも強い機能で、主導する機能(第1機能)、証明する機能(第8機能)が該当します。
この段階では、「個人の経験」「社会規範」「現在の状況」に加えて、4つ目の「時間経過」のパラメーターを使用します。
パラメーター | 段階4 |
---|---|
個人の経験 | ○:経験したことはわかります! |
社会規範 | ○:何をすべきかわかります! |
現在の状況 | ○:今の状況わかります! |
時間経過 | ○:今後どうなるかわかります! |
この段階では、時間が経つにつれて状況がどう発展するかまで見通すことができます。経験とセオリーと今の状況を頼りにしながら、まだ起こっていない結果まで予測します。
たとえば、主導する機能にNe(可能性の直観)を持つIEEは、今の可能性が今後どうなっていくかわかるので、成功の可能性を閉ざしてしまうことはないでしょう。
このプロジェクト、うまくいくだろうな。
しかしこの段階の機能は、あまりに膨大な経験とあまりに深遠な理解に基づいて情報を処理しています。人に全てをわかってもらうことはできないでしょう。
ちっとも伝わらないなぁ…。
受け入れられず悶々とすることもあるかもしれません。それでも歴史を進められるのは、この段階の機能以外にはありません! 自分が本当に良いと思うことを、素直にやっていけば大丈夫です。
その他の特徴はこんなものがあります。
こうした視点で自分のソシオタイプを絞ってみるのも面白いかもしれませんね。