「MBTIの相性論」として多くの誤解を与えているソシオニクスの入門3回目です。前回はソシオニクスのモデルAという理論の大枠を紹介しました。今回はこのモデルAの意識/無意識という大区分について紹介します。
前回まで:
モデルAのおさらい
前回の復習になりますが、モデルAとは、心を8つの機能の集まりとみなすモデルです。例として、以下にEIIというソシオタイプのモデルAの図を用意しました。
図の8つの楕円のパーツの集まりがモデルAです。このパーツ1つ1つは、主導する機能、創造する機能・・・という異なる働きをもつ機能のことをあらわしたものです。そしてFi、Ne・・・というアルファベットが書いてあることからわかるように、8つの機能には、8つの要素が抜け漏れなくあてはめられています。この当てはめられ方は全部で16通りあり、タイプごとに異なります。EIIの場合は、図のようなパターンになります。
意識と無意識
モデルAの8つの機能は、意識/無意識にわけることができます。モデルAの上半分、つまり第1~4機能のことを「意識」、下半分の第5~8機能のことを「無意識」といいます。まとめると、
です。
ちなみにソシオニクスでは、意識は「精神の輪the mental ring」、無意識は「生命の輪the vital ring」と呼ばれることもあります。
意識とは、外側の世界とのかかわり方
まず、モデルA上半分の意識について説明します。
意識の仕事は、一言で言えば自分の外側の世界とかかわることです。意識は、外側の世界から情報を受け取り、処理し、そして使用します。つまり、私たちは意識のおかげで他の人や物とかかわることができるのです。
さらに意識は、自我と超自我という2つのブロックにわかれています。上半分のうち、色が濃い(=強い)2つが自我で、色が薄い(=弱い)2つが超自我です。
自我の仕事は、外側の世界を認識することです。つまり、今どういう状況なのかな?周りは自分に何を求めているのかな?と考えるのが自我です。8つの機能のうち、①主導する機能と②創造する機能が、この自我にあたります。
一方、外側の世界に合わせることは、超自我の仕事です。超自我は、この社会で生きていくために自分は何をすべきなのかを考えて命令を出します。③規範の機能、④脆弱な機能が、この超自我にあたります。
無意識は、内側の世界とのかかわり方
モデルA下半分は、無意識です。無意識の仕事は、自分の内側の世界とかかわることです。意識が外側の世界から受け取った情報は、反響する形で自分の内側の世界へともたらされるのですが、無意識はそれを受け取って処理し、使用することとなります。
しかし無意識という名からわかる通り、内側の世界でどのように情報が処理されたのかについて、私たちは意識することができません。その代わり無意識は、うっかり感情的になってしまったときなどに、言葉にできない形で存在をアピールしてくることがあります。それこそ「無意識に」やってしまうことってありますよね。そういうのです。
さらに無意識は、イドと超イドの2ブロックに分かれています。下半分のうち、色が濃い(=強い)2つがイドで、色が薄い(=弱い)2つが超イドです。
イドの仕事は、内側の世界を認識することです。自分が潜在的にできることとは何なのか考えるのがイドです。8つの機能で言うと、⑦無視された機能と⑧証明する機能がイドにあたります。
また、超イドの仕事は、内側の世界に合わせることです。超イドは、自分が本当にしたいことは何なのか、自分のために生きるにはどうしたらいいのかを考え、命令します。⑤動員する機能と⑥暗示される機能がこの超イドにあたります。
まとめ
さて、意識と無意識のことがざっくりわかったところで、先の図に戻ってみましょう。
このEIIのモデルAを簡単に解釈するとすれば、以下のようになります。
- 外側の世界とかかわる場合(意識):自分の感情から考えたり(Fi)可能性を探ったり(Ne)しながら世界を捉えているが(自我)、社会に合わせて生きるには、論理で考えたり(Ti)力を行使したり(Se)しなければならない(超自我)。
- 内側の世界とかかわる場合(無意識):結果を予測したり(Ni)雰囲気を操ったり(Fe)することはできるが(イド)、本当に自分のために生きるには、平穏さを求めたり(Si)利益をあげたり(Te)しなければならない(超イド)。
これがEIIのモデルAの解釈です。つまり、EIIというタイプの性格は文章に落とし込めばこういうふうになるよということです。もちろん、これはあくまで1つの解釈にすぎません。8つの要素をどう解釈するのかによって、いろんな解釈が可能になるかと思います。8つの要素の解釈は、以下を参考にしてみてください。
次回は自我、超自我、イド、超イドについて詳しく見ていきたいと思います。