ソシオニクスのモデルAは、4つのブロックに分けることができます。今回はその4ブロックのうち、得意だけどやりたがらないブロックであるイドブロックId Blockを紹介します。
モデルAの「イド」ブロックとは?
イドブロックとは、上のモデルAの図で赤く囲まれている1番下の行のことです。このイドブロックは、意識/無意識の区分でいえば無意識にあたるもので、第7機能の無視された機能と、第8機能の証明する機能の2つの機能からなります。
イドブロックがとらえる情報
それぞれのブロックは、それぞれ違う情報を集めています。なかでもイドブロックがとらえる情報は、自分や周りの人たちの身の危険です。
(イドブロックは)有害な瞬間と危険な展開を予防するために使われます。(…)イドブロックの主要な機能は、潜在的な危険や落とし穴に注意し、自分の基礎となるニーズを満たし、自分や自分と親密な人たちの生存を保証することです。
Model A – Wikisocion
イドブロックは、危険イドブロックに危険を知らせるような情報が入ってくれば、予防策をとり、自分や自分の大切な人たちの安全を確保します。そうでない場合には積極的にイドブロックを使おうとはしません。
イドブロックを番犬にたとえてみましょう。
上の図の犬は、左の優しそうな人が「友達です」と言って近づいてきても許可しています。しかし、右の人が同じように「友達」を自称して近づいてくれば、絶対にそれを許しません。この犬は、右の人が悪意を持って近づいてくる敵だということが本能的にわかるからです。
イドブロックの特徴
他にもイドブロックにはさまざまな特徴があります。下でいくつか整理してみました。
イドブロックは、受動的に使う!
上の犬が寝てばかりに見えて「相手が友達なのか敵なのか」をきちんと嗅ぎ分けているように、イドブロックも、危険から身を守るため、実はちゃんと情報を受け取っています。自我ブロックと違って、ただ使い方が受動的なだけなのです。
受動的なスキルです――人はこのイドブロックを完全に使いこなすことができます(…)
同上
自我ブロックが「積極的で理性的な自己実現(同上)」に向かって使われるのに対して、イドブロックは、危険が迫ったときだけ使います。
こうした受け身な使い方のために、自分のイドブロックのことを「普段使わないのは不得意なせいだ」と誤解をする方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。
その証拠として、イドブロックは、本当にこれでいいのか?と疑ったり、騙されているのではないか?と心配になったりすることはありません(これは超自我ブロックや超イドブロックの特徴です)。イドブロックは、「恥や不安を知らない決断的で根気強いブロック」(同上)であり、自我ブロックと同じくらいには得意なのです。
イドブロックは、ぶっちゃけどうでもいい!
このように人はイドブロックをたやすく使いこなすことができます。それにもかかわらず、危険が迫ったときだけ使う、といった受動的な使い方ばかりなのは、イドブロックを使う価値を感じないことも関係するでしょう。
人はイドの要素を比較的簡単なものとみなし、やや退屈で無意味な作業なときには、自分のスキルに磨きをかけるのには良いけれども、それほどまでに集中する価値はないものだとみなします。
Functions – Wikisocion
イドブロックにはほとんど興味を持てません。面白かったり必要性があったりすれば別ですが、そうでなければイドブロック自体には面白みや意義は感じられないのです。
このイドブロックで自分が何ができるのかにはあまり気づいていないし、興味もありません。(…)その他(=危険から身を守る以外)のイドブロックの活動にはたいてい興味を持てないし、社会的価値の高い成果は生まれません。
同上
そして自分のイドブロックの活躍についても、かなり無自覚で無関心です。危険から身を守る以上のことはやりたがりません。やったとしてもあまり成果は挙げられないでしょう。
さっきの例でいえば、この犬は、友達か敵かをたやすく見破れるくらいには関係の機微をわかっています。だから、やろうと思えば人なつっこさを前面にアピールして、どんどん友達を増やしたり、どんどん友情を深めたりすることだってできるはずです。でも別にやりたくありません。
上の図では、みんなが友情を育んでいる間、犬はあいかわらず寝ています。犬からすれば、敵さえ見極められればそれで十分なのです。むしろ、うるさくして眠りを妨害するな!とすら思っていそうです。
イドブロックは、本来の使命と対立する!
このように興味が持てないイドブロックは、長くは使い続けることはできません。それは単純に興味がないからでもあるのですが、ソシオニクス的に言えば、自分の使命である自我ブロックとバッティングするからでもあります。
通常、イドブロックを絶えず働かせ続けることはできません。イドブロックを働かせるには自我ブロックを制限して、始終自分を吟味したり批判したりしなければならないからです。
Model A – Wikisocion
自我ブロックを夢中になって使っているときには、イドブロックは使えません。自我ブロックとイドブロックは、どちらか一方しか使えないようになっています。つまり、イドブロックを使うということは、自我ブロックつまり本来の使命とは正反対のことをやるということです。そのため、よっぽどやむを得ない理由がない限り、イドブロックは使わないでおきたいし、仕方なく使う場合でも長い時間続けることはしたくないのです。
イドブロックを使わざるを得ず、本来の使命に取り組むことができなくなることはよくあることです。そういうときには、その場を立ち去るか、誰かに助けを求めるようにしましょう。はじめに言った通り、イドブロックは危険がないかどうかを見極めて、危険を回避する役割を持っています。だから、イドブロックを使わざるを得ない状況というのは、そもそも危険な状況なのです。危険からは逃げましょう。誰がなんと言おうが、自分の安全と使命のほうが大事です。自力では逃げられない!と感じるなら、他の人の知恵を借りましょう!