ソシオニクス入門①~MBTIではタイプの相性はわかりません!~

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MBTIのタイプの相性って気になりますよね。検索するとたくさんの情報が出回っています。しかし公式には「MBTIは相性をはかるものではない」と言われています。実は、「MBTIのタイプの相性」として出回っているものの多くは、MBTIとは似て非なる「ソシオニクス」です。

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ソシオニクスとの出会い

2015年くらいのことです。私はMBTI(Myers–Briggs Type Indicator)という性格類型を知って以来、このMBTIにどハマりしていました。

それと同じ時期、ネットには「MBTIのタイプの相性」という情報が流布していました。「MBTIに相性なんてあるんだ!?」と思って、私はその情報にくぎ付けになりました。

一応言っておくと、日本MBTI協会は「MBTIは相性をはかるツールではない」と断言しています。だから 「MBTIのタイプの相性」 として出回っている情報はすべて、実際はMBTIとは何も関係がないのです。だから私も、誰かが独自に言いだしたことなのだろうと考えていました。

でも1つ引っかかることがありました。私がくぎ付けになったその「MBTIのタイプの相性」は、素人による独自研究と考えるにはあまりに洗練されているというか、やけに体系的だったのです。

そこでしばらく調べてみると、MBTIと似ている理論で、ソシオニクスという理論があるとわかりました。そして「MBTIのタイプの相性」として広まっていた情報が、実際はソシオニクスの理論だということもわかったのです。

下で説明するとおり、ソシオニクスはロシアのほうの理論です。ほとんどはロシア語のサイトばかりです。 英語サイトならいくつかあるのですが、 日本語サイトは全くないと言っていいほどでした(2016年当時)。

ということで、今回からソシオニクスの紹介をしていきたいと思います。

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ソシオニクスって何?

ではソシオニクスとはどんなものなのでしょうか?

ソシオニクスは、ロシアやその近辺で広まった性格類型です。1970年代から1980年代、リトアニアの心理学者、社会学者であるAušra Augustinavičiūtė(1927-2005)が発明しました。

具体的には、精神の構造と人間関係の構造を独自のモデルを用いて説明していた理論になります。ユングのタイプ論と、ポーランドの精神科医Antoni Kępiński(1918-1972)による「情報代謝information metabolism」という理論の2つを混ぜたものになっています。

一方、MBTIはアメリカ生まれの性格類型ですから、本当は全然違うものなのです。それでも同じユングのタイプ論に由来することや、16タイプに分けられることなどから、たびたびソシオニクスとMBTIは混同されています。

ソシオニクスとMBTIの違い

今回は、ソシオニクスの特徴の中でも、MBTIとは違う点を挙げてみます。

ソシオニクスのモデルは、8つの要素をすべて扱う!

まずMBTIでは、ユングのタイプ論をもとにした心理機能(直観、感覚、思考、感情)を使って心を説明します。この4つの心理機能は、さらに外向と内向に分けられ、全部で8つあります。

心理機能外向内向
直観(N)外向直観(Ne)内向直観(Ni)
感覚(S)外向感覚(Se)内向感覚(Si)
思考(T)外向思考(Te)内向思考(Ti)
感情(F)外向感情(Fe)内向感情(Fi)

MBTIでは、こうした8つの心理機能を、主機能・補助機能・第三機能・劣等機能の4つからなるタイプ・ダイナミクスに当てはめます。

例えば、ENTPというタイプであれば、

ENTP: Ne(主機能)→Ti(補助機能)→Fe(第三機能)→Si(劣等機能)

このような順番で発達していくとされています(第三機能の外向/内向については諸説ありますが、ここでは外向とします)。

しかし、先ほど言ったとおり、心理機能は全部で8つです。このMBTIのタイプ・ダイナミクスでは4つの心理機能のことしか扱っていません。残りの4つ(ENTPならNi、Te、Fi、Se)はどうなっているのかわからないのです。どうやら「無意識に沈んでいる」らしいのですが、ちょっと気になりますよね。

ソシオニクスも、MBTIと同じように8つの心理機能を用いて心を説明します。ただし、心理機能ではなく「情報要素information elements」と呼ぶ点は異なります(当ブログで「要素」と言うときはこの情報要素を意味しています)。

ソシオニクスは、MBTIのタイプ・ダイナミクスとは違い、8つの要素すべてを説明できるモデルを提案しています。ソシオニクスではつまり、すべての要素に役割があると考えるのです。このソシオニクスのモデルを、モデルAと言います(他にも最近のソシオニクスでは、モデルGだのモデルJだのいろいろあるのですが、当ブログでは一番古典的なモデルAを扱っています)。

モデルAの説明は第2回で説明しています。

さらに「無意識」というものの扱いについても、MBTIとは若干異なった考え方をするので注意が必要です。こちらは第3回で扱います。

ソシオニクスでは、タイプ間の関係がわかる!

次にソシオニクスでは、「タイプ間の関係intertype-relations」と呼ばれるものがあります。「MBTIのタイプの相性」として広まっているのは、このソシオニクスの理論だったのです。

なお、当ブログでは「相性」ではなくそのまま「タイプ間の関係」等と呼んでいます。「相性」としたほうがきっとウケはいいのですが、この言葉は正確ではないと思うからです。これは現実にたとえるなら親子とか兄弟みたいなもの。日本語の「間柄」に近いものです。「相性が良い」とか「相性が悪い」みたいに良し悪しではかれるものではありません。

また、ソシオニクスのタイプ(=ソシオタイプ)は全部で16タイプありますが、タイプ間の関係は、対称な関係が12通りと非対称な関係が2通りの、合計14通りです。

詳しくは第5回で解説しています。

ソシオニクスは、独自のタイプ表記をする!

MBTIのタイプは、「ENTP」などのようにアルファベット4文字で表します。MBTIについては本筋ではないので割愛しますが、大事なことは、4文字目のJ(判断)/P(知覚)です。Jは、主機能か補助機能のどちらかにTeかFeを持っている場合で、逆にNeかSeを持っている場合はPとなります。

たとえばINTJというタイプは、

INTJ: Ni(主機能)→Te(補助機能)→Fi(第三機能)→Se(劣等機能)

であり、補助機能にTeを持っています。そのため、最後の文字はJになります。

しかし、ソシオニクスには「j/pスイッチ」という問題があり、MBTIとJ/Pの決め方のルールが異なります。ソシオニクスでは、1番目の機能がFかTなら4文字目はj(小文字)、N/Sなら4文字目はp(小文字)というルールをとります。

ソシオニクスのモデルAで考えると、さっきのINTJにあたるタイプは、1番目の機能にNiを持ちます(これはMBTIと同じです)。しかし4文字目に限って言えば、上のルールにより小文字のpになります。つまり、ソシオタイプはINTpとなるのです。

ややこしいんですが、幸いにも(?)ソシオニクスには正式表記があります。正式表記ではMBTIとはまた違ったアルファベットを用います。

MBTIソシオニクス
F(Feeling、感情)E(Ethical、倫理的な)
T(Thinking、思考)L(Logical、論理的な) 
N(iNtuition、直観)I(Intuitive、直観的な)
S(Sensor、知覚)S(Sensory、知覚的な)
E(Extravert、外向)E(Extravert、外向)
I(Introvert、内向)I(Introvert、内向)

大体こんな感じです。そして、正式表記は「第一機能+第二機能+外向/内向」であらわされます。これを表にすると以下のようになります。

ソシオタイプ正式表記意味4文字表記MBTI表記※
ILE(Intuitive-Logical-Extravert)直観-論理-外向型ENTpENTP
SEI(Sensory-Ethical-Introvert)感覚-倫理-内向型ISFpISFJ
ESE(Ethical-Sensory-Extravert)倫理-感覚-外向型ESFjESFJ
LII(Logical-Intuitive-Introvert)論理-直観-内向型INTjINTP
SLE(Sensory-Logical-Extravert)感覚-論理-外向型ESTpESTP
IEI(Intuitive-Ethical-Introvert)直観-倫理-内向型INFpINFJ
EIE(Ethical-Intuitive-Extravert)倫理-直観-外向型ENFjENFJ
LSI(Logical-Sensory-Introvert)論理-感覚-内向型ISTjISTP
SEE(Sensory-Ethical-Extravert)感覚-倫理-外向型ESFpESFP
ILI(Intuitive-Logical-Introvert)直観-論理-内向型INTpINTJ
LIE(Logical-Intuitive-Extravert)論理-直観-外向型ENTjENTJ
ESI(Ethical-Sensory-Introvert)倫理-感覚-内向型ISFjISFP
IEE(Intuitive-Ethical-Extravert)直観-倫理-外向型ENFpENFP
SLI(Sensory-Logical-Introvert)感覚-論理-内向型ISTpISTJ
LSE(Logical-Sensory-Extravert)論理-感覚-外向型ESTjESTJ
EII(Ethical-Intuitive-Introvert)倫理-直観-内向型INFjINFP

※ソシオタイプとMBTIタイプが完全に1:1対応するのかどうかについては諸説あります。当ブログではMBTIから流れてきた読者を考慮して、ソシオニクス正式表記とMBTI表記を並記していることも多いですが、この場合は「ソシオタイプとMBTIタイプは1:1対応する」というスタンスが前提されています。

次回は、モデルAを紹介します。

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