規範の機能は、“素顔を喰らう仮面”の機能? | いざよいブログ
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規範の機能は、“素顔を喰らう仮面”の機能?

アイキャッチ:規範の機能は、“素顔を喰らう仮面”の機能? 独自研究

第1機能の主導する機能は、自分が一番得意とする機能です。しかし、思いのほか自分の第1機能がわからない人は多いです。それは、第3機能である規範の機能role functionが関係しているのかもしれません。

規範の機能とは?

規範の機能とは、モデルAにおける3つ目の機能で、超自我ブロックに位置します。

この規範の機能は、名前の通り規範としての役割を担います。要は、目指すべき姿として「~ねばならない」と強く意識している機能であり、社会適合のために使用を強いられるものなのです。

しかし、規範の機能は、経験とセオリーからしか学習することができず、その場その場で柔軟に対応したり、予め結果を予測しながら使用したりするまでは及びません。そういうわけで、規範の機能が捉える情報は、「一般論」程度の浅い理解に留まります。

このため、使いこなすのは難しいと感じているにもかかわらず、「上手に使いこなさねばならない」と強く意識してしまうのが、この規範の機能なのです。そのため、規範の機能を使うとストレスを感じやすく、さらに批判に対してもビクビクしてしまいがちです。 

より詳細な解説は以下をご覧ください。

規範の機能は「仮面」の機能

規範の機能についてまだいまいちわからない…という方がいらっしゃれば、緊張感漂う就職面接のような場面を想像してみてください。こういう場面では、たいてい「よそ行きの顔」をしますよね。いつもの自分の上から、仮面をつけているように感じることもあるかもしれません。こういうよそ行きの仮面が、規範の機能です。

人はたいてい、このよそ行きの仮面を持っているだろうと思います。さきほどの就職面接など、初対面の相手がいる場面や、あまり親しくない知り合いや恐ろしい上司などの前では、素顔をさらけ出すかわりに、この仮面をつけるのではないでしょうか。たとえば私IEI(INFJ)だったら、「ブナンな人」の仮面をつけてきたと言えます(規範のSi)。バイトの面接にいつものハデな服を着ていかないようにしたり、ブナンな高校・大学受験をしたりしたのは、この仮面をつけてきたからです。

ただこの仮面、とても着け心地が悪いのです。息苦しいのです。だから長いこと着けてはいられません。私はブナンな服装はつまらないから着たくなかったし、みんなと同じように高校、大学に行って就活して…というのにも居心地の悪さを感じてきました。でもだからといって、仮面をつけないわけにもいきません。仮面は、社会から疎外されず生きていく上では欠かせません。もし「ありのままの自分になるの~」なんて言って仮面を捨ててしまったら、単にそれは「自制心がないダメ人間」です。

また、仮面は素顔を守るものでもあります。あまり親しくない人の前で仮面をつけるのは、その人があなたの素顔を受け入れてくれるかわからないからでしょう。誰もがあなたの素顔を愛してくれるわけではありません。「お前の顔が気に入らない」と、むき出しの素顔を殴りかかってくる奴がいるかもしれません(もちろん比喩です)。仮面はつけておいたほうが安全なのです。

このように、つけるべきところで仮面をつけるのはとても大切なことです。しかし仮面をつける時間が長すぎたらどうでしょうか。会社に行くときも友人と遊ぶときも恋人に会うときも、そして1人でいるときも仮面をつけていたらどうでしょうか。

周りの人には「自制心があってしっかりしている人だな」と思われます。しかしその反面、「いつもなにかを抑えている人」とか「自分がなくつまらない人」にも見えるでしょう。

そして当の本人はというと、息苦しくて相当しんどくなっているはずです。仮面は素顔を蝕んでいき、いつしか仮面を素顔と誤解するようになります。本当の自分・本当にやりたいことが、よそ行きの自分・しんどいがやらねばならないことにとってかわられるということです。こうなってしまうと人生は一気に暗いものになります。何のために生きているかわからなくなってきます。うつ状態というのは、このように説明することができるでしょう。

規範の機能について、わかってきたでしょうか。ちなみに仮面の逆、素顔とは、主導する機能のことです(一番自分らしくて一番得意な機能です)。つまり、仮面を素顔と誤解するということは、規範の機能を主導する機能であると誤解するということです。もし冒頭で触れたように、読者の中で、自分のタイプがFなのかTなのか、あるいはSなのかNなのかで悩み、どちらも主導する機能であるように感じるとすれば、片方はこの規範の機能である可能性があります(ソシオニクスは類型論ですから、FとTの中間のタイプ、あるいはSとNの中間のタイプなんてものはありません)。 

いつか仮面を外せたら

先ほども触れた通り、私は「ブナンな人」の仮面をつけることで、悪目立ちして叩かれないよう気を付けてきました。しかし、その仮面はとても息苦しいので、ちょっとでも気を抜くとすぐに仮面をとりたくなってしまいます。かと言って、諸々の事情から仮面を外せなくなってしまったときもあって、そういうときには生きること自体がとても辛くなってしまったのでした。

では、仮面に素顔を蝕まれないようにしつつ、素顔を危険に晒さないようにする方法はあるのでしょうか。素顔でもいけないし、仮面でもいけない。どうしろと!?と思うかもしれません。こうした葛藤は、暗示される機能(盲点の機能)を知るといくらか和らぎます。なぜなら、この暗示される機能は、仮面、つまり規範の機能の代わりをしてくれるからなのです。

この2つの機能は、内向と外向の違いはあれど、似た機能です。そのため、代用することが可能です。残念なのは、暗示される機能は、規範の機能以上に苦手とする機能で、上手に使えるようになることはないかもしれないということです。実際、自分だけの力ではほとんど難しいといわれています。

それでも、この暗示される機能は人に希望を与えます。なぜなら暗示される機能は、自分が行き詰まっているときに、「その発想はなかった!」という心地よい驚きと一緒に、打開策を教えてくれるからです。

たとえば私は「ブナンな人」の仮面をかぶり、「ブナンな人生」に自分を合わせようとしてきました。それはそれは息苦しいことでした。しかし一方で、実際に周りの人がどうかをまるで見ていなかったことに気づいたのです。実際にはいろいろな顔、いろいろな服、いろいろな生き方があるし、みんな思ってるほどブナンじゃなかった。そして困難に屈することなく自分を押し通す覚悟さえあれば、別にブナンにとらわれる必要もないのでした。これが規範の機能(Si)の代わりに、暗示される機能(Se)を使うということです。

先も言った通り、暗示される機能を自分の力で上手に使えるようになることはないかもしれません。それでも私たちは生涯をかけて、何度も何度も暗示される機能に挑むでしょう。痛い目を見ることのほうが多いかもしれません。実際、ほとんどは自分の力ではうまくいかないので、誰かの助けを得ようとするでしょう。良い助けを得られず、不満をためたり、絶望したりすることもあるでしょう。それでも人は、いつかは仮面を外して素顔で生きられるようになることを夢見ずにはおれないのです。

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