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MBTIと混同されているソシオニクスの誤解を解くためのブログ。

MBTIとソシオニクスの違い②~スタンスの違い・方法の違い~

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前回は、MBTIとソシオニクスの違いについてまとめた表を紹介し、その違いのうち両者のタイプ観の違いについて考えていきました。今回は、政治的スタンスの違いと、タイプ確定の方法の違いについて考えていきたいと思います。

前回の記事はこちら:

 

政治的なスタンスの違い

MBTIとソシオニクスのスタンスの違いは、表では以下のようにまとめられていました。

MBTIとその派生(Keirseyなど)

ソシオニクス

「ポリティカリーコレクト」である。何よりもまずタイプはそのタイプがもつ強みを通じて描かれる。(弱みを描くことは「ポリティカリーインコレクト」とみなされる)

タイプは強みも弱みも両方描かれる。弱みに起因するノイローゼが考慮されている。これらの弱みこそが、相互依存や異なるタイプ同士の相互作用を説明し、タイプ間の関係の理論を築くために役立っている。

出典:SOCIONICS: Personality Types and Relationships

つまりMBTIでは、ポリコレという観点から弱みよりも強みに焦点をあてているのに対し、ソシオニクスは、ノイローゼを引き起こしたり他者との関係に影響を及ぼしたりする弱みを考えることを重要視しています。

ではMBTI、ソシオニクスそれぞれのタイプの説明には、こうした政治的スタンスの違いがどれくらい反映されているのでしょうか。以下で、両者の一般的な説明を比較していきます。

MBTIの説明

まずMBTIからです。『MBTIタイプ入門』(第6版)では、各タイプの説明の冒頭に「本来の姿」という見出しがつけられています。原文だと"At Their Best"となっています。たとえばENTJだと以下のように記されています。

 天性のリーダーで、組織をまとめることに力を発揮します。ものごとを概念的にとらえたり、すばやく理論化するため、様々な可能性を、短期的及び長期的な計画につくりあげます。論理的でないことや、非効率的なことに気づくと、それを正す必要性を強く感じ、人や状況を統制して、正しい方向に導こうとします。戦略的な洞察力のもと、自分が責任をとるべき他者や組織の将来において必要な計画をたてることに力を発揮します。 (p. 25)

その後、「特徴」という項が続きます。先の「本来の姿」がいわばイケてるときの姿なら、こちらはより一般的な姿と言っていいかもしれません。

(…)、ものごとを分析したり、批評することに力を発揮します。基準を設定し、それを自分をはじめ、他者や組織にもあてはめて考えます。知性や能力を高く評価し、非効率や無知を嫌います。また、必要があれば厳しい態度をとります。(…)

知的好奇心が旺盛で、新しい考えを探したり、複雑な問題を解くことを好みます、(…)、ものごとの可能性を深く考えて洞察し、それをもとに判断を下したり、計画を立てたりします。(…)

また組織の問題を解決する手腕をもち、複雑なものごとのつながりを見抜き、周囲に戦略的に働きかけます。起こり得る問題を前もって予測し、広い範囲に及ぶ計画やシステムを考え出し、目標達成に必要な人やものなどの資源を調達します。一般に、現状維持の標準的な作業を繰り返すことには関心を覚えず、新しい挑戦を好みます。(同上)

その後は「周囲に与える印象」についてまとめられたあと、最後は「今後の成長に向けての課題」で締めくくられています。今回は紹介しませんので、適宜購入してお読みになってください。

出典:

MBTIタイプ入門(第6版)

MBTIタイプ入門(第6版)

 

ソシオニクスの説明

つづいてソシオニクスの説明を見ていきます。文献が手に入らないので、過去記事で訳したGulenkoの説明を引用します。以下は、ENTJに対応するタイプであるLIEの一般的な説明です。

冒険好きで、自分のすることで文字通り「火をつける」ことができます。改革にふけります――新しいアイディアや理論に着目し、実際に応用できるかどうか探ろうとします。活発で落ち着きがなく、旅行や、ハイキング、登山、ランニングのような活動的なスポーツに興味を寄せることもしばしばあります。自然を愛し、そこに特別な意味を与えます。自分が何をめざしているのかを常に理解していて、周りの人々にその目標のことを説明します。

大胆に実験をし、普通の意見が誤っていることを示します。リスクを恐れず、自分の直観を信じ、様々な状況へと向かいます。豊かな想像力に恵まれることも多く、かなり珍しいアイディアを思いつきます。様々な領域において知的好奇心を抱くことが特徴です。発明、実験、技術に長けています。事前に事前に行動しようとします。なぜなら、明日やるのは遅すぎると知っているからです。

楽観的で、優れたユーモアのセンスがあります。しかし、LIEのジョークは、いつもふさわしいわけではありません。人間関係では、信頼の問題を経験します。関わる人を見極めることができないため、疑わしく危険なことに引き込まれてしまうことがあります。落ち着きがなく、時間がないことに注意を払えず話しすぎてしまいます。

周囲を整理したり快適にしたりすることをあまり重視しません。たいてい生まれつき健康で持久力があり、様々な方法によってその健康と持久力を支えようと専念します。だらだらと気晴らしをするのには耐えられず、そのせいで休暇中でさえリラックスすることができません。自分の計画と目的に支障が及ばない限りは、外見にもそこまで気を遣いません。

LIE Profile by Gulenko - Wikisocion

原文をあたれないのが悔しいですが、wikiを読む限りでは、MBTIの「今後の成長に向けての課題」に対応するであろう「成長のすすめ」的な項も別に用意されているみたいです。

結論:ソシオニクスのほうが辛辣?

たしかにMBTIの説明のほうがソシオニクスに比べて、いくらか言葉選びが慎重かな?と思いました。弱みに関しては「今後の成長に向けての課題」の箇所で挙げられてはいますが、それ以外では極力ポジティブでポリコレな言葉遣いがされています。全タイプざっと読んだ限り、弱みについて言及するときは「~~はできませんが」という譲歩の形をとったり直後に別の強みにつなげたりすることがよくあり、ネガティブな印象を与えないよう配慮しているなという印象でした。

比べてソシオニクスの説明は、後半でははっきりと弱みに言及しています。また、前半の強みに言及している箇所でも「落ち着きがなく」という表現があります。原文がどうなっているのかわからないですが、英訳の"restless"を見る限りあんまりポジティブ・ポリコレな表現をしようという気はなさそうです。

 

タイプの決め方の違い

最後に考えたいのは、タイプを決定するために使う方法の違いです。表では以下のようにまとめられていました。

MBTIとその派生(Keirseyなど)

ソシオニクス

検査が、タイプを発見するための主要な方法である。実際、数百万人がすでにMBTIやMBTIベースの検査(Keirsey Temperament Sorter、Murphy-Meisgeier Type Indicator for Chlildrenなど)を受けている。

検査は、使われるとはいえ、不十分でいつも信頼できるわけではないと考えられている。観察、聞き取り、外的なデータなどのような、医学に似た方法がより広く使われている。しかし、ソシオニストたちは、いくつかの有名サイトで「ソシオニクスのノウハウ」として誤って伝わっている"visual identification"は秀でていない。

出典:SOCIONICS: Personality Types and Relationships

MBTIの質問紙検査

MBTIでは、質問紙による検査によってタイプを決めます。私も実際にMBTIのセッションを受けましたが、質問紙にチェックをつけていって、最後にチェックの数を計算してタイプを割り出すというようなものでした。基本的にはネットでみかける「MBTIもどき」診断と仕組み自体はほとんど変わらないといっていいでしょう。

参考:

ソシオニクスの幅広い方法

一方こうした質問紙による検査だけでは不十分だと考えるのがソシオニクスです。検査に加えて観察や聞き取り、データの参照などを行うようです。お医者さんに「あー、炎症起こしてますねぇ。胃腸の風邪ですよ!」なんて言われるように、ソシオニストという権威に「あー、Niが暴れてますねぇ。LSIですよ!」と自分のタイプを診てもらうということなのでしょうか。

表中に"visual identification"という言葉が出てきます。これは、要は外見からタイプを診断しようという方法で、有名サイトsocionics.comの管理人Sergeiが発案したようなのですが、批判されることも多いようです。

結論:ソシオニストって誰なんだろう…

表を見るとMBTIで質問紙で全てわかる!みたいな印象を受けますが、少なくともMBTIの公式セッションでは、質問紙でタイプを割り出したあとにワークによって自分のタイプについて考える時間が設けられていましたし、必ずしも質問紙の結果だけがタイプを決めるわけではないので、注意が必要だと思いました。

あとは、もしソシオニクスがタイプに詳しい専門家によってタイプが決められるものなのだとすれば、専門家の力を借りながらタイプを自分で決めるMBTIとは対照的です。個人的には、ソシオニクスの専門家である「ソシオニスト」の立ち位置が気になりました。そういう資格があるとは聞いたことがないですし、またMBTIのファシリテーターほど閉じた職でもないでしょうから、おそらく「ソシオニクス研究者」くらいの意味なのかなぁと思うのですが。

 

みなさまはこれらの違いについてどのように思われたでしょうか。