宵のつれづれシリーズ、仕事帰りの電車の中で読めるくらいの軽い記事、というコンセプトではじめたシリーズです。今回は第81回、ESEの笑顔は前払いです。
ESEの笑顔は前払い
職場のESEさん、仕事を頼みたいときほどニッコニコの笑顔で近づいてくるのが面白くて面白くて。再現するならこんな感じ↓で。

(目を細めながら)こ~んにちはっ♡♡

ッ…!? こ、こんにちは…。

君の助けが必要なの~><♡ 私の気持ち聞いてくれる…?♡

は、はい…///(トゥンク)

えっとね! お客さん向けのパンフレットを作ってほしいの! こういうカンジで! ここはこのままだとイヤだから変えてくれる? そんで表紙はとびっっっきりカッコよくね♡ 「いつまでにほしい」って、今!! なるはやね♡ 他社より早く提案できるに越したことないから♡ それじゃ、ヨロシクね~っ♡♡

……。
※ひよこちゃんのセリフはイメージです。
前したツイートはこんな感じでだいぶはしょりましたけど。
実はこの与太話、ストラティエフスカヤ先生のとある説明が元ネタ(?)になっていたりします。
まずストラティエフスカヤ先生の印象的な1フレーズがこちら。
笑顔、それはESE(ユゴー)の万能通貨であり、社会における成功と、彼が手にするあらゆる物質的利益の尽きることのない源泉である。
Конфликтные отношения: ЭСЭ – ИЛИ, 拙訳
あえて経済学っぽい用語を用いて堅い表現をしている箇所です。私は経済学には疎いので頑張ってかみ砕くと、ESEの笑顔というのは、成功や利益を手にするための「通貨」のようなものだということです。しかもその通貨は使っても使っても減らないという。
さらに、彼女はこう続けます。
スローガン:「あなたの財と引き換えに、我々の笑顔を!」は、ESE(ユゴー)の期待を抱かせる眼差しの中にはっきりと見て取れますが、そこではESEは笑顔に加え、意味ありげな目配せをし、その視線によって、期待を抱かせる前払いをしながら、問いかけるように眉を上げて、その前払いに対して、終わることのない一連のお返しがなされるべきであるとほのめかすのです。
同上
この皮肉なスローガン。ESEは笑顔を差し出し、あなたは財を差し出す。とまあそんなことが表現されています。ESEは自分の笑顔という通貨を差し出し、その対価として「あなたの財」を期待していると、ストラティエフスカヤはそう言っている。
さらに大事なことは、ESEが先に笑顔を差し出すという点ですよね。先に価値を差し出している以上は、何らかのお返しを期待するのは、まあ人の心情として当然といえば当然です。
だからESEは
「私、笑顔をあげたよね? 人から何かもらったら、お返しが必要だよね? ……じゃあ、あとはわかるよね?(ニコ」
と言わんばかりに、眉毛をクイと持ち上げるんですね。
さっきの、ESEさんがニッコニコの笑顔で近づいてくる話はここに絡んできます。

それじゃ、ヨロシクね~っ♡♡
前払いなんだったら受け取らなきゃいいんじゃないかと思ったりもしますけど、そうもいきません。ESEの笑顔はあまりにニッコニコでキラッキラなんです。どれくらいキラッキラかというと、自分のこと好きなんじゃないかと思っちゃうくらい。なんなら帰り道にロマンスとか期待しちゃうくらいです。

……///(トゥンク)
ESE本人の感覚では、その笑顔が受け取られた時点で「取引」は成立しています。ESEの笑顔を受け取った時点で、すでにその人はお返しを期待される立場になっている。
でもそんなこと、笑顔の”続き”を期待して鼻の下伸ばしている浮かれ人間は気づきもしない。
そんで「自分のこと好きだから笑ってくれてるのかと思った」とか言って、「え、これからでしょ…? え、このやりとりも料金発生してたの? そっか…まぁ払うけど…払うしかないしなぁ~…」みたいな、なんかちょっとダサい感じになる。
たしかに職場のESEさんから頼み事をされるとなんか断りにくいなと思っていました。それは、頼み事に乗る乗らないという自分の思う取引開始地点よりも前に、ESEの「笑顔の取引」が始まっているからなのかもしれません。

