仕事帰りの電車の中で読めるをコンセプトにした、宵のつれづれシリーズ。今回は第45回目、歌の強奪です。
歌の強奪
前々回から、暗示される機能の話書いています。
暗示される機能は、赤ちゃんみたいに弱っちい(キュート♡)な機能というだけではなく、むしろ常に飢えていて他人からのサポートを残酷に強奪する機能でもあるのですよ…というのが前回のお話でした。
今回は、具体的にどういうふうに「強奪」が行われるか、例を見ていきましょう。
たとえばLSI。LSIの暗示される機能は、外向倫理(感情の倫理)です。
冷静に淡々と生活をこなしていくLSIは、逆に言えば、感情面での飢えを常に感じています。本当は強烈な感情を味わいたい。たとえるなら、壮大な音楽を聴いたときに心に湧き上がる、感動、興奮、畏怖、信仰心、郷愁、感傷…のような。それによって魂を揺さぶられたいわけ。
LSIは、人に対しても、そんな強烈な感情を提供してくれることを期待しています。
彼(LSI)は、主導する機能×感情の倫理(外向倫理)のハムレット(EIE)との双対化を志向し、暗示される機能×感情の倫理(外向倫理)に従って、絶え間ない感情的な栄養(「再充電」)を必要とし、それがなければ、彼はこの感情的なサポートを強要し始めます(…)
Деловые отношения: ЛСИ – ЭСИ|Соционика от Стратиевской, 拙訳(※一部読みやすさ重視した訳に変えています)
暗示される機能はサポートが得られないと飢えに苦しみ、なんとしてでもこの飢えをしのぎたいという見境のなさで、サポートを強要し始めます。
そしてLSIの場合は、自分の感情を盛り上げてもらえるよう周りの人に強いるようになります。
最近「これだ!」と思うエピソードを体験したので共有します。同居人LSIがある日なんかの愚痴をグチグチネチネチ言っていたときのことです。
ハァ。ホンマクソや。黙ってるとしれっと仕事押し付けてくるから、先んじて連絡してたのに結局俺が全部やってるしアアー腹立つ。ハァーーさっさと終わらせるかぁ…今日中にあれとこれと…。なんで俺がやらなあかんねん、お前の仕事やろ。
かわいちょ~。
俺かわいそう。全然テンション上がらん。なんか歌って!!
テキトーな返事をする私に同居人LSIが求めた感情面のサポートは、歌でした。
歌…? 今ストラティエフスカヤ訳しててめちゃ面白いとこなんだけど。
歌って歌って歌って歌って!!!
私が歌いたいときに歌うのー。歌は歌えと言われて歌うものじゃない。
気分屋お騒がせ天才歌手みたいな口ぶりになっていますが、謙遜とかではなく、別に私本当に歌うまくないんです。ここで大事なのは、そんな歌うまくない人にすら歌をねだるというところです。見境ない。中島みゆきに1曲お願いするのとは全然事情が違うということです。
歌いたい歌でいい!!
えーじゃああの歌だったらいいケド。
…という感じで、私は結局ストラティエフスカヤを読むのを中断し、歌を歌いました。クソみたいにめんどくさいんですけど、無視したらもっとめんどくさいので歌わざるを得ません。マジ強奪。
ちなみに私がどんな歌を歌ったかと言いますと。
プップッ♪チャッチャ♪プププッ♪チャチャチャ♪プップップププ♪チャッチャッチャチャチャ♪
ハハハ!! 楽天のチャンステーマだ!!
オーオーオーオオオオーオオーオー♪
今回は、比較的平和な強奪の例を紹介したつもりです(それでもだいぶめんどいが…)。次回は平和じゃない強奪の例を紹介しましょうかね。
暗示される機能のこと、ちょっとわかってきたかしら…。
※ひよこちゃんのセリフはイメージです。